このプロジェクトに寄せて
想像してみてください。あなたは持続可能なエネルギーソリューションを学ぶ学生。そんな学生のあなたが、自分の生み出したアイディアを実行できる意思決定者に発表するチャンスを与えられる―。2018年、ガデリウスグループはそれを実現できる機会を私たちに与えてくれました。
スウェーデン王立工科大学(KTH)エネルギー工学部におけるエネルギーマネジメントコースは、持続可能なエネルギー工学の修士課程において必要不可欠なプログラムです。学生たちはチャレンジすることが求められる教育の中、2040年までに都市における持続可能なエネルギーシステムを生み出すことをタスクとします。気候変動が進む現代において、これは理論的な演習課題ではありません。学生たちは、将来自身のキャリアの中で出会うであろう問題の解決方法を学ぶのです。
ガデリウスが当大学(KTH)へ「持続可能な東京・エネルギープロジェクト」の話を提案したのは2017年終わりのことでした。そしてこのプロジェクトは、エネルギーマネジメント学科に最適なものでした。120名の学生は20グループに分かれ、各グループは東京23区のうちの各区について精査を進めました。このプロジェクトの中で学生たちは、エネルギーシステムの考え方、多目的最適化やシナリオ分析、自身の考えたソリューションを開発するための経済的手段を学びました。
学生たちは研究結果を修士論文として提出し、優秀な5グループが2018年6月上旬、ストックホルムにて成果を発表しました。在スウェーデン日本大使や元駐日スウェーデン大使、そして産業界、政界、学界などから100名を超える聴衆が集まり、港区と中野区について発表した2グループが最優秀賞に輝きました。2グループは、日本へ来日し、各区へそれぞれの提案を発表する機会を副賞として与えられました。
こうして2018年9月学生たちは来日し、港区・中野区の各区役所、東京大学、福島県飯舘村への訪問を行ったほか、ガデリウス本社にて国内のエネルギー関連関係者へ向けて研究結果を発表しました。学生たちにとっては忘れられない経験となり、教員にとっては日本の大学との関係を築き、未来のコラボレーションの機会を発展させるよいチャンスとなりました。ガデリウスが支援し、この年のエネルギーマネジメントコースに多くの価値を与えてくれた「持続可能な東京2040プロジェクト」の研究成果は各レポートよりご覧いただけます。
ネルソン・ソマーフェルド
PhD candidate KTH
スウェーデン王立工科大学